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一般公開

#コーディネーターの立場から

第11回 コーディネーターからみた信託の現場 ~ 最後の難関:公証役場手配 ~

一般公開期間:2026年1月1日 ~ 3月31日

※当記事は2026年1月の内容です。

 オンラインの普及により家族信託のご依頼も全国いろんな地域からいただくようになってきました。 お打ち合わせも親側・子側が離れて暮らしていてもオンラインで成立するようになり、随分と便利になったと感じます。
 組成に関わってくださる専門士の先生方も、オンラインで対応くださる先生が多く、大変助かります。

 やはり人同士なので、一緒にお仕事をさせていただくにおいての温度感・スピード感・考え方がしっくり合う先生方には、また次回も私のチームに入っていただきたいという気持ちになるもので、新しい案件を受任したとしても、組成に加わっていただく先生はある程度同じ先生に偏ってしまうのは、他のコーディネーターの方々も同じかと思います。

 現在私の拠点は九州ですが、家族信託で関わっていただいている司法書士・税理士の先生は、関東や関西・四国の先生方が多いです。オンラインに本当に感謝。
 しかし、これまで苦労してきたのは公証役場です。
 今年から公証役場もオンライン手続きが始まったのはまさに朗報ととらえていまして、これまでは本当に公証役場というか、公証人の先生を「誰にお願いするか」で、それはもう苦労してきました。 今後は住んでいる地域にあまり限定されず、家族信託に精通している先生にオンラインでお願いできるようになるなんて、コーディネーターからしても「待っていました!」という感じです。

 それを想うと、これまでの「公証人選びで苦労したケース」を自分なりに振り返ってみたいと思います。

公証人迷子

 相談があったのは関西のコーディネーター仲間からでした。 ご相談者が家族信託を希望しているけれども、一緒にコーディネートに入ってほしいというのがスタートで、最後の公証役場同行以外、私は打合せには毎回九州からオンラインで参加をさせていただきました。

 関西に住むお父様は68歳。関東に住む息子さんは二人とも30代。委託者の判断能力には全く問題なく、家族信託や後見制度の内容も明確に理解してくださり、この案件もチームを組みなれている関東の専門士の司法書士の先生に入っていただき、組成の骨組みはとても順調に進んでいきました。
 しかし、つまずいたのは公証役場です。

 お仕事を休みにくい息子さんのスケジュールに合わせて、お父様がはるばる関西から出てくる前提で、都内にある息子さんの職場の一番近くの公証役場を希望されました。尚且つ、息子さんがお仕事を半休で対応できるように、職場の近くの公証役場がいいということで、コーディネーターとしての情報集めに着手しました。
 私もその時の司法書士の先生も、都内とはいえ、そこの公証役場での信託の組成の経験がなく、公証人の先生の情報や評判がわからなかった為、知り合いの専門士の先生方に聞いてみたところ、
「あそこの公証役場であれば、A先生がとてもいい」
という情報を聞きました。
 知らない公証人の先生に当たって、ご依頼者が嫌な想いをするくらいなら、良い評判のある公証人の先生の方がいいだろうと、A公証人を指名して司法書士の先生に引き継ぎました。 ところが、
「文案検討の前に、委託者・受託者共に公証役場に来てもらい、家族信託の仕組みについて本当に理解しているかのヒアリングを先にさせてもらいます」
というのが指名の条件でした。
 電話もオンラインも不可。平日の開所時間内に親子で揃ってきてくださいという条件は、この親子にとってはハードルが高く、 関西に住むお父様も、仕事の休みがとりづらい息子さんも
「職場に一番近い公証役場でなくて構いません」
ということで、一つ隣の公証役場を選択することに気持ちを切り替えられました。

 そして隣の公証役場。 この公証役場に関しても未開拓だった為、家族信託普及協会に所属する関東の先生方に評判を聞いてみたところ、
「B公証人がとても丁寧だった」
という評判を聞いた為、B公証人にひとまずご挨拶をした後、司法書士の先生に文案を持ち込んでいただきました。
 がしかし、いつまでたっても文案が確定されず、聞けばかなり慎重というか、とても議論好きな公証人の先生だったようで、各条項ごとにあれこれ「待った」がかかり、組成の司法書士の先生とのラリーが続くこと2か月が経過していました。
 急いでいた案件ではありませんでしたが、その段階でもまだゴールが見えなかったことから、家族信託普及協会のサポートサービスで相談したところ、
「そのまま時間をかけ続けるよりも、理解ある他の公証役場に切り替えた方がいいのでは?」
とのアドバイスで、また公証役場探しが振り出しに戻りました。

ご依頼者の親子さんからは、
「もうこうなったら 都内の公証役場であればどこでも構いません」
と言っていただき、結果当初のご意向の場所からはだいぶ離れましたが、比較的慣れた公証役場のC公証人に滞りなく手続きをしていただきました。

「公証人迷子」・・・判断能力には何の問題もないこの親子さんに、公証役場選びでここまで苦戦するとは思ってもみませんでしたが、このケースのように、委託者と受託者が遠く離れて暮らしている場合は、公証役場のリモート運用はとても利用しやすくなると期待でいっぱいです。

公証人一人だけの公証役場での苦戦

 私の活動拠点であります九州の中でも、さらに地方の公証役場では公証人リサーチに更に苦戦します。 なかなか前向きな先生が多くなく、しかも家族信託に精通している先生方が多いわけではありません。

 先日、初めて利用する公証役場に関して情報収集したところ、公証人がお一人しかいない公証役場でしたが、その公証人の先生は、つい数か月前に着任されたばかりの新任の公証人で、信託契約の経験が無い方だというのが判明しました。 前例や評判が無いのは非常に不安な話で、迷っていたところ、家族信託普及協会に非常に所縁のある元公証人の先生がご連絡を取ってくださり、
「私がサポートしていきますので安心してください」
と、お顔つなぎをしてくださり、契約締結まで本当にスムーズに手続きを進めることができました。そこにはもちろん、いつも組成に携わってくださっている家族信託普及協会の専門士である司法書士の先生の実績や信頼感が土台にあったのはもちろんですが、この元公証人の先生のご尽力に最大級の感謝でした。

 この事例の経験では、家族信託普及協会のコーディネーターで良かったと、また家族信託普及協会のサポート会員で良かったと心から思いました。

 そんな苦労してきた「公証人選び」ですが、今後はオンラインで自由度が増すのは、私たちコーディネーターにとって今後本当にご案内がしやすくなります。
 引き続き、ご依頼者ご家族に気持ちよく手続きを進めていただけるよう、また、専門士の先生には契約書作成に集中して取り組んでいただけるよう、情報収集やコーディネートに頑張っていきたいと思います。